元日は「時を紡いで」で伊勢参りを


一色 克美
2016.12.14.(水)

欧米の旅行者に日本の観光名所について聞いたある調査によると、伊勢神宮の知名度は3パーセントなのだという。50パーセントを超えているのは富士山だけで、京都で20パーセント。鎌倉や奈良、日光などは、いずれも10パーセントを切っている。
しかし、一度、その魅力について説明をされれば「訪れる価値がある」と思う人は増えるとも書かれていて、伊勢神宮の場合は34パーセントが関心を示した。
調査では「日本の主要な観光資源は、ポテンシャルはあるが、西洋市場での知名度の欠如が誘客を阻害している」とまとめている。(たぶん、だいたい)
僕がディレクターをした伊勢神宮の番組「時を紡いで」は、海外のテレビ局へも販売されている。例えば、モンゴル・・・。毎年春の神宮奉納大相撲には、日本に暮らすモンゴルの人たちが県内外から訪れて、同郷の力士を取り囲む姿が見られる。だが、伊勢神宮自体への関心というのは・・・どうなのだろう?
海外の放送関係者を対象にしたマーケットに、僕も番組を持参したことがあるのだが、伊勢志摩サミットが開催されたとはいえ、(おそらく地元が思っているよりも)伊勢神宮の知名度は低いというのが実感だ。一方で、実際に伊勢神宮に訪れた外国人、それも事前に観光ガイドなどで一定の情報を持ってやってきた外国人に話を聞くと、案外満足度が高いというのも実感だ。
なので、「知名度の欠如が誘客を阻害している」のも、たぶんその通りなのだろうし、魅力を説明する機会があれば関心を高めることができるというのも事実なのだろう。
サミットという絶好の機会に、伊勢志摩なり伊勢神宮なりの魅力を海外に有効に発信できたのかどうかはさておき、伊勢神宮を取材に訪れる海外マスコミの数は、この1年ほどで10倍に増えているそうだ。
そういえば、サミットの際に国際メディアセンターで、カナダ人の記者に質問された。センターのテレビモニターには、式年遷宮の様子やおかげ横丁が映し出されていた。記者は「神社の建て替えは毎年あるのか?」「あの町並みは神社から近いのか?」と聞いてきた。(それくらいの英語なら僕でもわかる) 「いや、20年に一度だ。なにしろ莫大な費用がかかる」「おかげ横丁といって神社のすぐ近くだ」と答えつつ、自分のつくった式年遷宮のDVD(英訳付き)を手渡した。まぁ、正確に言うと「あ、あ、あ。あの、20年。タトコエ、いやタテカエ、20年。お金、いっぱいいっぱい。オカゲヨコチョウ、近いよ、スゴクチカイ」みたいな英語だったが。
DVDを手に取った記者は、さらになにか質問をしかけたが、僕の顔をしばし眺めたあと、近くにいた日本語の喋れる同僚記者を呼んで「DVDの内容を教えて?」と尋ねた。今度は安心して日本語で答えた。
記者が、その後、伊勢神宮を訪れたかどうかはわからない。通訳をしてくれた記者が仕事に戻ってしまったので「とっても緑がきれいで、ピースフルで、いいところです。でも教会みたいなすごい建物はないですけど」と、必死に宣伝しておいた。

さて、2017年の元日には『時を紡いで 〜世界が見た伊勢神宮〜』が放送になる。
サミットで伊勢神宮を訪れた首脳や、明治維新以降に伊勢神宮を参拝した西洋人が残した言葉を通して、「日本人が知らない伊勢神宮」を探るという内容。
他では報道されていない首脳らの正宮での様子や、近現代の伊勢神宮を研究しているジョン・ブリーン教授の話なども紹介する予定だ。
100年前も1000年前も変わらないと思いがちな伊勢神宮だが、ブリーン教授によれば、時代の流れの中で大きく姿を変えてきたのだという。青い目を通して見る伊勢神宮は、きっと「あなたの知らない伊勢神宮」を見せてくれることだろう。

でも、知名度の向上にはつながらなさそうな内容なんだよなぁ…。

放送は、元日の午後6時からです。
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