向かい風はそよ風希望


一色 克美
2017.4.18.(火)


今年は桜の時期が長かった。ニュースウィズでも4月に入って2週間まるっと桜特集が放送できた。ソメイヨシノはおおむね散ったが、山桜などはまだ見られるところもありそうだ。

山桜を愛した人といえば、松阪が生んだ国学者、本居宣長が良く知られている。

しき嶋の やまとごころを 人とはば 朝日ににほふ 山ざくら花

小学校だか中学校だかの遠足で行った本居宣長の奥墓には山桜が植えられていたように記憶している。花より団子というわけではないが、松阪にある朝日軒の名菓「山さくら」は、僕の好きな菓子のひとつだ。ちなみに僕は菓子は甘いものが好きで、日本酒は端麗辛口が好きだ。

勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離


中国・唐の時代の詩人、于武陵の「勧酒」に出てくる「花」が、何の花をさすのかは知らないが、井伏鱒二の名訳のイメージからか、桜がしっくりくるように思う。

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ


松阪の町を開いた戦国大名、蒲生氏郷の辞世の句にも「花」が登場する。僕の大好きな山田風太郎が「戦国武将の絶唱としては白眉である」と評価した歌だ。

限りあれば 吹かねど花は 散るものを 心短き 春の山かぜ

氏郷は39歳で死んでいる。
僕はもう、氏郷の死んだ年を超えたというのに、いまだに落ち着きがなく、子供っぽいままだ。(この場合の「子供」は、ハードボイルド小説の主人公が、昔の恋人に「あなたっていくつになっても子供のままね」と言われる場合の「子供」ではない。ただの駄々っ子から抜け出せていないという意味の、つまりは「難儀な大人」という意味だ)

もとより従順な性格ではなく、上司に叱られても馬耳東風で文句ばかり言っているから、社内での立場は風前の灯。年功序列とお情けで管理職にはなったものの、自己管理すらできない姿に、後輩からの風当たりは増すばかり。自業自得で困った状態に陥ることも多いが、柳に風とばかりに、やり過ごすのも苦手で、だからといって、明日は明日の風が吹くと開き直ることもできず、心のどこかで、思いがけず道が開けないかと願っていたりする。そう、風が吹けば桶屋が儲かる的ラッキーな展開で…。ふぅ、ため息ばかり。

ところで、今月から「みえの風紀行」という番組がはじまった。(毎月第2日曜放送)
三重県の気象の話題を紹介する番組で、三重大学の先生方が季節ごとのトピックスを解説する。    
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次回の放送は5月14日。奇しくも伊勢神宮では、作物の成長を促す適度な風雨を願う風日祈祭が行われる日だ。なお、放送のテーマは「風」ではなく、たぶん「日差し」になる予定…なんじゃないかな、うん、確かそんな気がする。
曖昧なのは、たっぷり打ち合わせをしたあと、帰り際に1人の先生とチヌ釣りの話で盛り上がってしまい、打ち合わせた内容を忘れてしまったから。新入社員以下の仕事ぶりである。
そんなだから、先輩風も吹かせられないし、うだつの上がらない風貌も相変わらず。順風満帆というわけにはいかない社会人21年目の春なのである。
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